
Riot Gamesが主催する『VALORANT』の公式世界大会シリーズ「VALORANT Champions Tour(以下、VCT)」で、2027〜2028年シーズンのパートナーチームが出そろいました。Champions上海が閉幕を迎えた10月18日前後から、各チームが公式Xで選出・選外を相次いで発表しています。
VCT Pacificでは、日本からZETA DIVISIONが継続して選ばれたほか、Crazy Raccoonが新たに選出され、約3年ぶりにVALORANTの競技シーンへ戻ることになりました。一方で、2023年のVCT Pacific開幕からパートナーとして戦ってきたDetonatioN FocusMe(以下、DFM)は選外となり、同じ日にはRIDDLE ORDERがVALORANT部門の活動休止を発表しています。
日本勢の明暗
日本のチームの発表は以下のとおりです。
| チーム | 結果 | 発表日 |
|---|---|---|
| ZETA DIVISION | パートナーに継続して選出(VCT Pacific 5シーズン目) | 10月19日 |
| Crazy Raccoon | パートナーに新たに選出 | 10月20日 |
| DetonatioN FocusMe | 選外。VALORANT部門の活動は継続 | 10月19日 |
| RIDDLE ORDER | VALORANT部門の活動を休止(選考結果には言及なし) | 10月19日 |
2023〜2026年はZETA DIVISIONとDFMの2チームが日本のパートナーでしたが、2027年からはZETA DIVISIONとCrazy Raccoonの2チームに入れ替わる形となります。パートナーに入る日本のチームが2チームである点は変わっていません。
発表への反響は大きく、Crazy Raccoonの選出発表とDFMの選外発表は、いずれも10月22日時点でXの表示回数が370万回を超えています。
ZETA DIVISION「4年ぶりとなる日本国内での戦いも予定」
ZETA DIVISIONは10月19日、公式Xで「ZETA DIVISION SELECTED AS A VCT PARTNER TEAM. Onward to 2027.」と発表しました。公式サイトでは、Riot Gamesとのパートナーシップを再締結し、2027年シーズン最初の大会となるKickoffから参戦することを報告しています。
ZETA DIVISIONは、国際リーグ制が始まった2023年からVCT Pacificに参戦しており、2027年で5シーズン目を迎えます。公式サイトでは新フォーマットについて「一つひとつの試合結果が命運を分けるトーナメント形式」と説明したうえで、「インターナショナルリーグでのこの4年間で培ってきた経験と学びを最大限に活かし、生まれ変わった過酷なフォーマットの中でも世界の頂点を目指して全力で戦い抜きます」と意気込みを示しました。
また、「新フォーマットのもとでは4年ぶりとなる日本国内での戦いも予定されています」として、ファンイベントなどの企画を準備していることも明らかにしています。Riot Gamesが10月15日に発表した2027年の開催地では、VCT PacificのCup 2が8月5~29日に東京で開催される予定となっています。
ZETA DIVISIONは10月23日18:00から、XQQ氏、crow氏、SugarZ3ro選手、Laz氏を迎えた「VCT27パートナー決定生配信」を公式YouTubeで実施する予定です。2027年のロースターは、現時点では発表されていません。
Crazy Raccoon「We Are Back」
Crazy Raccoonは10月20日、公式Xで「We Are Back」のメッセージとともに、VCT 2027のパートナーチームに選出されたことを発表しました。投稿では「この度、Crazy RaccoonがVCT 2027のパートナーチームとして選出されたことをお知らせいたします」とコメントしています。
Crazy Raccoonは2020年にVALORANT部門を立ち上げ、2021年には「VALORANT Masters Reykjavík 2021」「VALORANT Masters Berlin 2021」「VALORANT Champions 2021」の3つの国際大会に日本地域の代表として出場しました。Masters Berlinのグループステージでは、ブラジル代表のHavan Libertyを2-0で破り、日本勢として国際大会での初勝利を挙げています。
その後、2023年に始まった国際リーグのパートナー選考では選ばれず、同年は国内のVALORANT Challengers Japanで活動しました(Split 1で準優勝、Split 2で4位)。2023年11月には、Crazy Raccoonを運営する株式会社Samurai工房と、DFMを運営する株式会社DetonatioNが包括的業務提携を結び、Crazy Raccoonに所属していたneth、Meiy、popogachiの3選手がDFMへ移籍しました。Crazy Raccoon自身は2024年以降、VALORANTの競技活動を休止していました。
今回の選出は、2023年の選考で選ばれなかったチームが、自らの名前でVCTの最上位カテゴリーに戻ってくるものとなります。選手やコーチは現時点で発表されておらず、どのような体制で部門を再始動させるのかに注目が集まっています。
DFMは選外、部門の活動は継続
DFMは10月19日、公式Xで「Our VCT Partnership Ends in 2026」と題し、2027年シーズン以降のパートナーチームに選ばれなかったことを発表しました。
DFMは2023年のVCT Pacific開幕からパートナーとして参戦しており、2026年シーズンをもって現在のパートナーシップは終了します。発表では、ファンと選手・コーチへの感謝を述べたうえで、次のように今後の方針を示しています。
「今回の結果を受けても、DFMは歩みを止めることなくVALORANT部門の活動を継続いたします。これまで積み重ねてきた歴史と経験を糧に、『日本から世界へ挑むチーム』として、再び世界の舞台を目指します」
2027年の体制は、決定しだい改めて発表するとしています。前述の業務提携により、DFMのVALORANT部門には元Crazy RaccoonのMeiy選手らが所属してきましたが、両チームの2027年以降の体制や関係については、現時点で明らかにされていません。
なお、2027年からは後述するオープン予選が導入されるため、パートナーでないチームでも大会の成績しだいでKickoffやMasters、Championsを目指すことができます。DFMにとっては、パートナーとしてではなく、予選を勝ち上がる立場から世界の舞台を目指すことになります。
RIDDLE ORDERはVALORANT部門の活動を休止
同じ10月19日、RIDDLE ORDERは、JoxJo選手とgyen選手が契約満了で退団すること、そしてVALORANT部門が同日をもって活動を休止することを発表しました。
RIDDLE ORDERは2024年にVALORANTの競技シーンへ参入し、発表文では「日本4連覇を達成するなど、選手たちは数々の輝かしい活躍を見せてくれました」と振り返っています。発表文ではパートナー選考の結果には触れていませんが、海外メディアのVLR.ggは、RIDDLE ORDERを選ばれなかったチームの1つとして掲載しています。
VCT Pacificのパートナー8チーム
VCT Pacificで選出を発表したチームと、選外を発表したチームは以下のとおりです。各チームの公式Xでの発表をもとにまとめています。
選出(8チーム)
- Rex Regum Qeon(インドネシア)
- ZETA DIVISION(日本)
- Gen.G(韓国)
- GAM Esports(ベトナム)
- Paper Rex(シンガポール)
- Crazy Raccoon(日本)
- T1(韓国)
- FULL SENSE(タイ)
選外を発表したチーム
- Global Esports(インド)
- Nongshim RedForce(韓国)
- KIWOOM DRX(韓国)
- DetonatioN FocusMe(日本)
- BOOM Esports(インドネシア)
ベトナムのGAM EsportsはVALORANTへの新規参入となります。一方で、2026年に「VALORANT Masters Santiago」を制したNongshim RedForceも選外となりました。同チームのCEOは、2027年もVALORANTのチームを運営すると明らかにしています。Global Esportsは選外の発表とあわせて、eスポーツ事業から撤退し、AIスタジオとして再出発することを表明しました。
パートナーの数は、各リージョンともこれまでの10チームから8チームに減ります。ほかのリージョンでも、AmericasのCloud9、FURIA、FlyQuest、EMEAのMovistar KOI、ChinaのFunPlus Phoenix、Wolves Esportsなどが選外になったと報じられており、強豪や人気チームであっても枠を得られないケースが目立っています。
2027年のVCTは何が変わるのか
今回の選考は、VCTの仕組みそのものが大きく変わるタイミングで行われました。Riot Gamesは2027年から、長期間のリーグ戦を廃止し、大会(トーナメント)を中心とした形式に移行すると発表しています。Riotはこの方針を「everything is a tournament(すべてが大会になる)」と表現しています。
Riot Gamesの発表による主な変更点は以下のとおりです。
- シーズンはOpens(オープン予選)、Kickoff、Cups、Masters、Championsで構成され、年間50以上の大会を15都市で実施
- 地域リーグ(Stage)に代わり、Cupsを新設
- Americas、EMEA、PacificのKickoffは12チームで実施。内訳はパートナー8チームと、オープン予選を勝ち上がった4チーム
- Kickoffの上位3チームがMastersへ進出
- パートナーチームはKickoffに予選免除で出場できるが、以降のCupsへの出場は保証されない。CupsやMastersで上位に入れなかったチームはOpen Playoffsに回り、勝ち上がり直す必要がある
- オープンチームは、5人中3人以上の選手を維持していれば、シーズン中のポイントと進出状況を引き継げる
Pacificは、韓国、日本、タイ、インドネシア、ベトナムなどの地域ごとに予選が行われる仕組みです。日本は独立した予選地域となっており、DFMのように選外となった国内チームも、ここからKickoffやCupsへの出場を目指すことになります。
非パートナーチームへの資金面の支援も新たに設けられました。大会の賞金とは別に、出場を決めた段階で固定の報酬が支払われます。
| 出場を決めた大会 | 報酬 |
|---|---|
| Kickoff または Cup | 10万ドル(約1,500万円) |
| Masters | 20万ドル(約3,000万円) |
| Champions | 40万ドル(約6,000万円) |
※1ドル150円で換算
さらに、非パートナーチームがGame Changers Championshipに出場した場合にも、10万ドルの報酬が加算されます。VALORANT EsportsのグローバルヘッドであるLeo Faria氏は、「最も強いチームが、あらゆる段階で自らの居場所を勝ち取るべきであり、すべての試合が重要になる」という考えのもとで新しいVCTを設計したと説明しています。
パートナーかどうかが組織の行方を左右する
新制度はパートナー以外のチームにも門戸を開くものですが、パートナーの地位が組織の経営に与える影響は依然として大きいものがあります。今回の選考の前後には、海外でも名門チームの撤退が相次ぎました。
北米のEvil Geniuses(EG)は10月20日(現地時間)、11月2日をもって競技活動と日常業務を終了すると発表しました。EGは2023年のVALORANT Championsで優勝したチームで、1999年の創設から25年以上の歴史を持ちます。CEOのChris DeAppolonio氏は、「eスポーツは、限られたスポンサー機会や、トップレベルで戦うためのコストの上昇といった大きな逆風に直面し続けています」としたうえで、継続的な投資を行ってきたものの、事業を責任ある形で運営し続けることはできないと判断したと説明しています。VLR.ggによると、この発表はAmericasの8つ目のパートナー枠が明らかになった直後に行われ、EGはパートナーに含まれていませんでした。
前述のGlobal Esportsのeスポーツ事業からの撤退も含め、パートナーに選ばれなかったチームの判断は分かれています。DFMやNongshim RedForceのように、オープン予選からの挑戦を選ぶチームがある一方で、組織そのものの撤退に踏み切るチームも出ている状況です。国内でも、選考結果が出そろった時期にRIDDLE ORDERがVALORANT部門の活動休止を決めています。新制度がうたう「開かれた競技環境」が、選手やチームの活動を支える経済的な基盤として機能するかどうかは、2027年シーズンの動向を見る必要がありそうです。
今後のスケジュール
2027年シーズンに向けた主な日程は以下のとおりです。
- 11月2日:2026年のVCTの契約が終了し、フリーエージェント期間が開始
- 11月:2027年Kickoffに向けたオープン予選が開始
- 2027年1月14日~2月7日:VCT Pacific Kickoff(タイ・バンコク)
- 2027年2月20日~3月3日:Masters Seoul(韓国・ソウル)
- 2027年4月29日~5月23日:VCT Pacific Cup 1(フィリピン・マニラ)
- 2027年6月5~20日:Masters Valencia(スペイン・バレンシア)
- 2027年8月5~29日:VCT Pacific Cup 2(日本・東京)
- 2027年9月16日~10月10日:VALORANT Champions 2027(アメリカ・オースティン)
VCTに国際リーグ制が導入された2023年以来、日本のパートナーはZETA DIVISIONとDFMの2チームでしたが、2027年からはZETA DIVISIONとCrazy Raccoonが日本を代表してVCT Pacificに挑みます。Crazy Raccoonがどのようなロースターで約3年ぶりの復帰を果たすのか、そしてパートナーの座を離れたDFMがオープン予選からどう巻き返すのかは、オフシーズンの大きな見どころとなりそうです。2027年8月には東京でCup 2が開催される予定で、日本のファンが国内でVCTの試合を観戦できる機会も4年ぶりに巡ってきます。11月2日から始まる移籍市場の動きにも、引き続き注目が集まります。
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