
高校対抗のeスポーツ大会「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2026」の全国大会グランドファイナルが、8月14日(金)から16日(日)までの3日間、大阪城公園内のCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで開催されました。8回目となる今大会は過去最多となる8タイトルで実施され、全国からのべ7,311名・2,181チームがエントリーしています。
STAGE:0はテレビ東京と電通が中心となる実行委員会が主催する大会で、同じ高校に在籍する生徒同士でチームを組むことが参加条件となっています。「この舞台からすべてが始まる」という大会名の通り、プロシーンへの登竜門としての性格を持ち、テレ東系では「eスポーツ甲子園」として地上波放送も行われる、国内の高校生eスポーツでは最大規模の大会です。
STAGE:0 2026大会概要
- 大会名:Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2026(第8回)
- 主催:STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2026 実行委員会(テレビ東京・電通)
- 冠スポンサー:日本コカ・コーラ株式会社
- 参加規模:のべ7,311名/2,181チーム
- 採用タイトル:ブロスタ、クラッシュ・ロワイヤル、リーグ・オブ・レジェンド、ヴァロラント、フォートナイト、オーバーウォッチ、ストリートファイター6、ポケモンユナイト(計8タイトル)
- ブロック代表決定戦:6~7月、全国8ブロックでオンライン実施
- 全国大会セミファイナル:7月11~26日
- 全国大会グランドファイナル:8月14~16日/COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール(観覧無料・予約不要)
- クラッシュ・ロワイヤル部門は8月1日、フォートナイト部門は8月2日に別日程で実施
- 大会アンバサダー:田中卓志(アンガールズ)/スペシャルサポーター:丹生明里
参加資格が「同じ高校の生徒同士」に限られるため、選手たちはクラブチームのように外部から強い仲間を集めることができません。校内でメンバーをそろえ、限られた練習環境の中で全国大会まで勝ち上がる必要があるという点が、この大会の難しさであり、面白さでもあります。
グランドファイナルの模様はSTAGE:0公式YouTubeチャンネルのほか、XとTwitchでも配信されました。今年はグランフロント大阪 北館1Fナレッジプラザでパブリックビューイングも初開催されており、会場外での観戦の受け皿も広がっています。
6部門の結果一覧
| 部門 | 優勝 | 準優勝 | 参加チーム数 | 実施日 |
|---|---|---|---|---|
| フォートナイト | ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校(千葉)「ちゃりーん」 | N高等学校(沖縄)「らきりぃ3ぴーす」 | 803 | 8月2日 |
| リーグ・オブ・レジェンド | S高等学校(沖縄)「G1」 | ルネサンス大阪高等学校(大阪)「CrabFamily」 | 161 | 8月14日 |
| ストリートファイター6 | N高等学校(埼玉)「集中!〜希望誕生〜」 | N高等学校(沖縄)「エラ呼吸で生きてます」 | 286 | 8月14日 |
| ヴァロラント | ルネサンス高等学校(神奈川)「Across」 | ルネサンス大阪高等学校(大阪)「なめくじブラザーズ」 | 430 | 8月15日 |
| オーバーウォッチ | N高等学校(沖縄)「lazuli」 | N高等学校(埼玉)「Melange」 | 86 | 8月16日 |
| ポケモンユナイト | S高等学校(茨城)「てんしのほしがりす」 | 明治大学付属中野高等学校(東京)「誤タップ同盟」 | 発表なし | 8月16日 |
フォートナイト部門:ヒューマンキャンパスのぞみ高「ちゃりーん」が初優勝
グランドファイナルに先立ち、8月2日にオンラインで実施されたのがフォートナイト部門です。803チームがエントリーした最大規模の部門で、予選とセミファイナルを勝ち抜いた最大40チームによって全国大会が行われました。同一高校の2人1組によるデュオ形式です。
優勝したのは、ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校(千葉県)の「ちゃりーん」。総合301ポイントを獲得し、同校にとって初の優勝となりました。Round5でビクトリーロイヤルを奪う勝負強さを見せています。準優勝はN高等学校(沖縄県)「らきりぃ3ぴーす」、3位はN高等学校(沖縄県)「俺は俺」でした。特別賞の神エイム賞には、「俺は俺」のyuma選手が選ばれています。
優勝チームの2人はいずれも高校2年生で、昨年は優勝に届かなかった経験を持ちます。LBworks選手は「去年は優勝してなかったから優勝できてよかったです。試合のレベルも高く面白い戦いでした」とコメントし、これから大会を目指す高校生に向けて「毎日基礎練習を継続すること・諦めないこと・冷静でいること」の大切さを挙げました。もう一人のめとちゃでぇやんんす(Metotya)選手も「去年優勝できなくて悔しい気持ちがあったので今年優勝できてとてもうれしいです」と振り返っています。表彰の場では「来年もまた一緒に出る」と連覇を宣言しており、来年に向けた注目チームがさっそく生まれた形です。
リーグ・オブ・レジェンド部門:結成3か月のS高「G1」が161チームの頂点へ
グランドファイナル初日となる8月14日は、リーグ・オブ・レジェンドとストリートファイター6の2部門が行われました。
リーグ・オブ・レジェンド部門を制したのは、S高等学校(沖縄県)の「G1」です。161チームの頂点に立ち、決勝ではルネサンス大阪高等学校(大阪府)の「CrabFamily」を破りました。G1は結成からわずか3か月、しかも出場メンバー全員がSTAGE:0初出場という急造チームでした。5人1組で戦う『リーグ・オブ・レジェンド』は連携の練度がそのまま結果に直結するタイトルであり、その中で集団戦の判断を的確に積み重ねて全国制覇まで駆け上がったことになります。敗れたCrabFamilyは、大会前に「高校最後のSTAGE:0、3年生6人の覚悟を全国に見せつけます」とコメントしていたチームです。学年構成の異なる両者が決勝で顔を合わせたという点でも、高校生大会らしい一戦となりました。
ストリートファイター6部門:N高対決の決勝は1年生エースが逆転KO
同じく8月14日に行われたストリートファイター6部門は、同一高校の2人でチームを組む2on2のチーム戦として実施されます。286チームが参加し、トーナメントは早稲田式シングルエリミネーション、グランドファイナルは3本先取で争われました。
優勝したのはN高等学校(埼玉県)の「集中!〜希望誕生〜」です。3年生のよみお選手(使用キャラクターは舞)と、1年生のsuisenri選手(リュウ)という学年の離れたタッグでした。よみお選手は昨年出場できなかった悔しさを抱えて臨んだ大会だったと伝えられています。
決勝の相手は、同じくN高等学校(沖縄県)の「エラ呼吸で生きてます」。魚おおぉぉおおおお選手(ブランカ)と鯖の味噌煮選手(ベガ)のペアで、決勝はN高同士の対決となりました。試合はフルセット・フルラウンドまでもつれ込み、最終戦では魚おおぉぉおおおお選手のブランカが体力を大きくリードする場面もありましたが、suisenri選手のリュウが粘りから逆転KOを決めて決着しています。
3位タイには開志学園高等学校(新潟県)「GOイヨックス希望誕生」と、N高等学校(宮城県)「牛タンBOMB」が入りました。なお、この部門の決勝ラウンドはテレ東系全国ネットで8月23日に放送された「eスポーツ甲子園 STAGE:0 2026」で地上波オンエアされています。
ヴァロラント部門:ルネサンス高「Across」が昨年の雪辱を果たす
8月15日のヴァロラント部門は、430チームが参加した激戦区です。制したのはルネサンス高等学校(神奈川県)の「Across」でした。
Acrossは2025年大会の決勝で敗れて準優勝に終わったチームで、今年はそのリベンジを果たした形になります。リーダーのryu選手は「去年2位だった結果が夢に出るくらい悔しかった。今年リベンジできてめっちゃよかった」と、1年越しの思いを口にしました。勝因についてもryu選手は「とにかくコミュニケーションを取るようにしたこと」を挙げています。
決勝の相手はルネサンス大阪高等学校(大阪府)の「なめくじブラザーズ」で、ルネサンス高校グループ同士の対決となりました。STAGE:0のヴァロラント部門は全試合が1本勝負のBO1形式で、決勝もマップ「スプリット」の一発勝負。前半は互いの戦術を読み合う接戦でしたが、後半のアタッカーサイドでAcrossが連続ラウンドを奪い、13-6で勝負を決めています。
Acrossはらるす選手、eliel選手、ryu選手の3年生3人に、syuu選手とりりー選手の1年生2人という構成でした。eliel選手は勝因として個人技の向上に加え、1年生2人の活躍を挙げています。
オーバーウォッチ部門:N高「lazuli」が同校対決を制す
最終日となる8月16日は、オーバーウォッチとポケモンユナイトの2部門が実施されました。
86チームが参加したオーバーウォッチ部門は、N高等学校(沖縄県)の「lazuli」が優勝。準決勝では昨年準優勝のおかやま山陽高等学校(岡山県)「dauntless」を退け、決勝では同じN高等学校(埼玉県)の「Melange」と対戦しました。ストリートファイター6部門に続いて、この部門も決勝がN高同士の顔合わせとなっています。
公式Xが公開したハイライトでは、決勝のMAP 2を「プロレベルの圧巻の試合」と紹介しており、高い破壊力と攻め手の途切れない試合運びでlazuliが押し切ったと伝えられました。昨年のオーバーウォッチ2部門はS高等学校(茨城県)の「Hedgehog」が優勝しており、角川ドワンゴ学園のN高・S高がこの部門で2年連続の日本一となります。
ポケモンユナイト部門:S高「てんしのほしがりす」が初代王者に
今大会から新たに採用されたのがポケモンユナイト部門です。同一高校の5人1組で参加する形式で、初代王者の座はS高等学校(茨城県)の「てんしのほしがりす」が手にしました。
決勝の相手は明治大学付属中野高等学校(東京都)の「誤タップ同盟」。互いに1本ずつを取り合う展開となり、迎えた第3戦をてんしのほしがりすが制して優勝を決めています。セミファイナルには愛知県立豊明高等学校「<聡明な天文人の使徒>」、武蔵高等学校「ムサファイブ」も進出しており、全日制の進学校が上位に食い込んだ部門でもありました。
『ポケモンユナイト』はスマートフォンとNintendo Switchでプレイできる5対5のチーム戦略バトルゲームで、STAGE:0が採用しているタイトルの中では比較的参加のハードルが低い部類に入ります。8月16日の準決勝終了後にはピカチュウたちがステージに登場し、来場者にはポケモン30周年を記念したミュウツーのアクリルスタンドが配布されるなど、競技以外の演出も用意されました。新規タイトルの初年度としては、会場の雰囲気づくりまで含めて手厚い立ち上げになったと言えます。
N高・S高が4部門制覇、通信制高校勢の存在感
本記事で取り上げた6部門すべてで通信制高校が優勝しており、うち4部門は角川ドワンゴ学園のN高・S高が独占しました。N高グループは今大会、5部門に過去最多となる16チームがグランドファイナルへ進出しており、その層の厚さがそのまま結果に表れた形です。ストリートファイター6とオーバーウォッチにいたっては、決勝が同校対決になりました。
ヴァロラント部門もルネサンス高校グループ同士の決勝であり、上位争いが特定の学校法人の内部で完結する場面が目立ちました。一方、今回扱っていない2部門では京都府立朱雀高等学校(ブロスタ)と開智日本橋学園高等学校(クラッシュ・ロワイヤル)が優勝しており、全日制の公立・私立校がタイトルを獲得しています。参加のハードルが比較的低いモバイルタイトルと、専用の練習環境や機材が求められるPCタイトルとで、勝ち上がる学校の傾向に差が出ているとも読み取れます。
通信制高校の強さの背景には、eスポーツコースや部活動として競技環境を整備し、全国の生徒がオンラインでチームを組める仕組みがあります。学校側にとってはeスポーツが広報面でも重要な位置を占めており、この構図はしばらく続きそうです。
規模の推移と今後
タイトル数は過去最多となった一方で、参加規模そのものは前年から縮小しています。
| 2025(第7回) | 2026(第8回) | |
|---|---|---|
| エントリー | 2,575チーム/8,293名 | 2,181チーム/7,311名 |
| タイトル数 | 7タイトル8部門 | 8タイトル8部門 |
| 会場 | 大阪・関西万博会場内 EXPOホール「シャインハット」 | COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール |
ただし、2025年大会はフォートナイトがバトルロイヤルとゼロビルドの2部門に分かれており、両部門を合わせると1,179チームが参加していました。2026年はフォートナイトが1部門に統合され803チームとなっているため、この統合分だけでも数字の減り方は説明が付きます。実際、ヴァロラント(515→430)やリーグ・オブ・レジェンド(190→161)でも参加チーム数は減っていますが、部門構成が変わった年の数字を単純に前年比較することは適切ではありません。減少の理由について、実行委員会からの説明は出ていません。
なお、2025年大会のライブ配信総視聴者数は約2,306万人と発表されています。2026年大会の視聴数は現時点で公表されていません。STAGE:0は2019年の第1回から続く大会で、ここを経てプロシーンに進んだ選手も少なくありません。今年の優勝チームを見ても、ストリートファイター6を制したsuisenri選手は1年生、ヴァロラントのAcrossにも1年生が2人在籍しており、来年以降も同じ顔ぶれが上位に絡む可能性は高そうです。フォートナイト部門の優勝ペアが早々に連覇を宣言していることも含めて、2027年大会に向けた物語はすでに動き始めています。
新採用のポケモンユナイトがどこまで参加校を広げるのか、そして通信制高校勢の優位がどこまで続くのか。高校eスポーツの現在地を測るうえで、STAGE:0の動向は引き続き注目すべき指標となりそうです。
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