【アジア競技大会2026】eスポーツまとめ。日本は金2・銀2・銅1の計5メダル、11歳・栗原悠輝選手のぷよぷよとポケモンユナイトが金、格闘団体戦と第五人格は銀

愛知県常滑市のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で行われている第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)のeスポーツ競技で、日本代表が出場した全7種目の日程が9月30日(水)までに終了しました。日本は金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個の計5個を獲得しています。

アジアオリンピック評議会(OCA)が主催する公式の国際総合競技大会で、eスポーツが正式なメダル競技となったのは前回の杭州大会からです。杭州では3種目に13名を派遣しながらメダルを獲得できなかった日本にとって、自国開催の今大会は、正式競技として初めての表彰台、そして初めての金メダルを手にした大会となりました。なお、eスポーツ競技は10月2日(金)の決勝をもって全日程を終える予定ですが、残る種目に日本代表は出場していません。

日本代表の全成績

種目実施日結果日本代表
eFootball™9月23日銅メダル貴田英貢也(Tess)、茶谷優我(lemon-pop)
グランツーリスモ79月23日4位國分諒汰
ぷよぷよeスポーツ9月26日金メダル栗原悠輝(ゆうき)
対戦格闘団体戦9月26日銀メダル樋口孝治郎(ひぐち)、中山大地(NOBI)、澤田彰仁(SCORE)
ポケモンユナイト9月27日金メダル鳥羽航人(b1)、小瀬古雄大(Mame)、東蓮汰(ak1)、髙田祥生(py1)、佐藤博希(piui)、白川真士佳(Ma・sh1o)
PUBG MOBILE9月29日9位石川知輝(REX)、足立登馬(相棒最強)、正田哲仙(PINE喰)、田頭永伍(Garnet)、大橋乃輔(Apollo)
Identity V 第五人格9月30日銀メダル粟田勇斗(Unpyi)、上仲真生(Katsuki)、神谷凌(Soba)、小沼真澄(City)、前田健太朗(maeken)、上村匡優(Aka)、大山流陽(yukakina)

※実施日は決勝(最終順位決定)の日付

第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)のeスポーツ競技で、eFootball™日本代表の貴田英貢也選手(Tess)と茶谷優我選手(lemon-pop)が銅メダル。

アジア競技大会、eFootball日本代表の貴田英貢也選手(Tess)と茶谷優我選手(lemon-pop)が銅メダル。

アジア競技大会、グランツーリスモ7、日本代表の國分諒汰選手、4位。

アジア競技大会、グランツーリスモ7、日本代表の國分諒汰選手が4位。

ぷよぷよeスポーツ:11歳の栗原悠輝選手が日本勢初の金、アジア大会史上最年少メダリストに

9月26日(土)のぷよぷよeスポーツでは、日本選手団最年少で小学5年生の栗原悠輝選手(ゆうき/東京ヴェルディeスポーツ)が金メダルを獲得しました。日本にとって、正式競技となったアジア大会のeスポーツで初めての金メダルです。ぷよぷよeスポーツは今大会で初めて採用されたタイトルで、10の国と地域から選手が出場しました。

ラウンド対戦相手スコア
グループステージ(9月24日)フィリピン、カザフスタン、韓国、香港4戦全勝でA組1位
準々決勝(5本先取)KOH Mun June Justin(シンガポール)5-0
準決勝(10本先取)WONGKITIKUN Tanarak(タイ)10-1
決勝(10本先取)KANG Dongshin(韓国)10-2

決勝トーナメント3試合の合計は25勝3敗。決勝の相手は、グループステージでも破っていた韓国代表のKANG Dongshin選手でした。1本目を落としたものの、2本目に15連鎖を決めてタイに戻すと、その後は11連鎖、13連鎖とリードを保ち、10-2で頂点に立っています。

2015年6月生まれの栗原選手は、準々決勝に勝利した時点でメダルを確定させ、2018年ジャカルタ大会スケートボード女子ストリートで当時12歳のニマス選手(インドネシア)が持っていた記録を塗り替え、11歳3カ月でアジア大会史上最年少のメダリストとなりました。全競技を通じての記録です。

栗原選手は全国都道府県対抗eスポーツ選手権の小学生の部を2023年・2024年に連覇し、2025年には年齢区分のないオープン参加の部も制しました。2026年2月にはセガ公式大会「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」で年間王者となり、4月にはJESUのルール改定を受けて小学生として初めてプロライセンスを取得しています。

ぷよぷよeスポーツ日本選手団最年少の栗原悠輝選手、アジア大会のeスポーツ競技。

対戦格闘団体戦:韓国に逆転を許し銀メダル

Street Fighter 6、鉄拳8、THE KING OF FIGHTERS XVの3タイトルを使う対戦格闘団体戦は、各タイトル1名ずつの3名でチームを組み、タイトルを切り替えながらセットを奪い合う形式です。最初のタイトルはコイントスで決まり、以降は直前のセットを落としたチームが次のタイトルを選びます。

日本代表は、Street Fighter 6のひぐち選手(樋口孝治郎/ZETA DIVISION)、鉄拳8のNOBI選手(中山大地/Team YAMASA)、THE KING OF FIGHTERS XVのSCORE選手(澤田彰仁/AMATERASU GAMING)の3名です。

ラウンド対戦相手スコア
グループステージアラブ首長国連邦、パレスチナ2戦全勝で1位通過
準々決勝(9月25日)バーレーン3-1
準決勝(9月25日)香港3-0
決勝(9月26日)韓国2-5

香港との準決勝は、SCORE選手、ひぐち選手、NOBI選手がいずれも2-0で勝利するストレート勝ちでした。この時点で、日本のeスポーツとして初めてとなる銀メダル以上が確定しています。

決勝は、先に5セットを奪ったチームが勝利する方式で行われました。韓国代表は、Street Fighter 6のDakCorgi選手(KT Rolster)、鉄拳8のKnee選手(KIWOOM DRX)、THE KING OF FIGHTERS XVのMadKOF選手です。

セットタイトル結果通算
1Street Fighter 6ひぐち 2-1 DakCorgi日本 1-0
2KOF XVSCORE 1-2 MadKOF1-1
3鉄拳8NOBI 2-1 Knee日本 2-1
4KOF XVSCORE 0-2 MadKOF2-2
5鉄拳8NOBI 1-2 Knee韓国 3-2
6Street Fighter 6ひぐち 0-2 DakCorgi韓国 4-2
7鉄拳8NOBI 0-2 Knee韓国 5-2

日本は2度リードを奪いましたが、第4セットから4連敗を喫しました。第6セットではひぐち選手のガイルがDakCorgi選手のC.ヴァイパーに敗れ、韓国が金メダルに王手をかけています。後がなくなった第7セットで、日本は鉄拳8を選択しました。NOBI選手は代名詞のスティーブからドラグノフに切り替える場面も見せましたが、Knee選手に押し切られ、韓国の優勝が決まりました。

韓国のMadKOF選手は決勝で2セットとも勝利し、大会を通じて無敗だったと報じられています。韓国の3選手は、いずれも長くシーンの第一線で戦ってきたベテランです。日本の3名も含め、各タイトルを代表するトッププレイヤー同士が国を背負って戦う、見応えのある決勝となりました。銅メダルは香港とサウジアラビアです。

試合後、ひぐち選手は「鬼気迫るプレーが手ごわかった」、NOBI選手は「対策はしているつもりだったけど、韓国が一枚上手だった」と、韓国の強さを認めています。そのうえでNOBI選手は、次のように語りました。

日本はeスポーツが発展途上にある。僕たちの試合をみて、ちょっとでも『eスポーツって楽しいな』と思ってくれたら、銀メダルを取れてよかったと思います

アジア競技大会、対戦格闘団体戦、日本代表、樋口孝治郎選手(Street Fighter 6)、中山大地選手(鉄拳8)、澤田彰仁選手(THE KING OF FIGHTERS XV)、銀メダル。

ポケモンユナイト:17歳の主将・東蓮汰選手が決めた逆転の金

9月27日(日)のポケモンユナイトでは、日本代表が決勝でインドネシアを3-1で破り、今大会2個目の金メダルを獲得しました。

日本代表は6名中5名がFENNEL所属で、佐藤博希選手(piui)のみREJECT所属という構成です。主将は、メンバー最年少で高校2年生の東蓮汰選手(ak1)が務めました。

ラウンド対戦相手スコア
グループリーグC韓国、インド2戦全勝で1位通過
準々決勝チャイニーズタイペイ2-0
準決勝韓国2-0
決勝(3本先取)インドネシア3-1

東選手が「山場だった」と振り返った準決勝の韓国戦は、2試合目の終盤まで押される展開から、最後の攻防で押し返してストレート勝ちを収めました。

インドネシアとの決勝は1試合目を落とす苦しい立ち上がりでしたが、2試合目と3試合目を連取して王手をかけます。4試合目もインドネシアが優位に立つ時間帯が長く続きましたが、最終盤に東選手のメタグロスが値千金の一撃を放ち、逆転で金メダルを決めました。

ここで相手が勝つと流れが一気に傾くから、『自分が決めてやる』と、目がギンギンでした(東選手)

東選手は名古屋市在住で、大会期間中の9月21日に17歳の誕生日を迎えたばかりです。主将には「誰もやりたがらないだろうし、せっかくの大会だから目立ちたい」と自ら立候補し、髪も日の丸を意識して赤く染めて大会に臨んでいました。同じく名古屋市出身で代表最年長の小瀬古雄大選手(Mame)とともに、地元開催の大会で金メダルを手にしています。

めちゃくちゃうれしい。日本のファンが多くて歓声が大きくて力になった。家族も来ていたので金メダルを見せられて良かった(東選手)

自分とかじゃなくて、メンバーのおかげというか。彼らが勝手に取ってくれた、みたいな感じです(佐藤選手)

代表の主力を担ったFENNELは、8月のポケモンワールドチャンピオンシップス2026(WCS2026)ではTOP16で同じ日本のZETA DIVISIONに敗れていました。国内の層の厚さゆえに世界大会では日本勢同士で潰し合う場面もあったなか、国を代表する舞台では日本の選抜チームとして頂点に立った形です。

アジア競技大会ポケモンユナイト、日本代表、小瀬古雄大選手、佐藤博希選手、白川真士佳選手、髙田祥生選手、鳥羽航人選手、東蓮汰選手、金メダル。

PUBG MOBILE:最終日にドン勝も、総合9位

9月28日(月)・29日(火)の2日間、全12マッチの累計ポイントで争われたPUBG MOBILEでは、日本代表は12チーム中9位でした。

1日目を34ポイントの7位で終えた日本は、2日目のマッチ11で最後まで生き残る1位(WWCD)を獲得し、順位点10・撃破点8の計18ポイントを加えて総合8位まで浮上しました。しかし最終マッチ12で順位を維持できず、合計59ポイントの9位で全日程を終えています。

金メダルは1日目から首位を守ったタイ、銀メダルは中国、銅メダルはパキスタンでした。日本代表の5名のうち4名は、新潟を拠点にPUBG MOBILEに専念するMAKING THE ROADの所属選手です。

アジア競技大会、PUBG Mobile、日本代表、足立登馬選手、石川知輝選手、大橋乃輔選手、正田哲仙選手、田頭永伍選手、9位。

Identity V 第五人格:中国と接戦を演じ銀メダル

日本代表にとって最後の種目となったIdentity V 第五人格は、9月30日(水)に準々決勝から決勝までが1日で行われました。

1人のハンター(捕まえる側)と4人のサバイバー(逃げる側)が対戦する非対称対戦ゲームで、日本代表はハンターに上村匡優選手(Aka)と大山流陽選手(yukakina)、サバイバーに司令塔の神谷凌選手(Soba)らを擁する7名で臨みました。

ラウンド対戦相手スコア
準々決勝タイ2-0
準決勝マレーシア2-0
決勝中国0-2

準決勝のマレーシア戦では、1勝1分けで迎えた3戦目にハンターとして出場した19歳の大山選手が相手の脱出を阻み、決勝進出を決めました。

決勝の相手は強豪・中国でした。引き分けを挟む接戦となり、試合中には会場のネットワークケーブルの不具合により30分近く中断する場面もありましたが、最後は中国が2勝を挙げて金メダルを獲得しています。なお、中国のメンバーでサバイバーを務めたMu Xinyue選手は、アジア大会のeスポーツで金メダルを獲得した初の女性選手になりました。

司令塔の神谷選手は、2026年5月にこのアジア大会を最後に競技から引退することを発表していました。大会翌日の取材では、最後の大会を「後悔なく楽しくできた」と振り返り、悔しさは仲間に託すと語っています。これからeスポーツを始める子どもたちには、次のメッセージを送りました。

僕がeスポーツをやっていく上で大事にしてたことが、楽しくやることなんです。何事においても楽しくなきゃ続けていけないし、うまくなりたいと思わないし、やっぱりすべてにおいて楽しむことを優先して頑張っていってほしいです

大山選手も「スポーツとしての広がりを感じてうれしい」とコメントしています。

アジア競技大会、Identity V 第五人格、日本代表、粟田勇斗選手、上仲真生選手、上村匡優選手、大山流陽選手、神谷凌選手、小沼真澄選手、前田健太朗選手が出場、準優勝。

杭州の「メダルゼロ」から5個へ 自国開催で見えた成果と課題

3種目13名を派遣してメダルなしに終わった杭州大会から、7種目9タイトル25名に規模を広げて臨んだ今大会。結果は、出場7種目のうち5種目でメダル獲得という大きな前進となりました。

背景の一つに、採用タイトルの構成があります。今大会の13タイトルのうち、Street Fighter 6、鉄拳8、THE KING OF FIGHTERS XV、グランツーリスモ7、eFootball™、ぷよぷよeスポーツ、ポケモンユナイトの7タイトルが、日本企業のタイトル、または日本発のIPを用いたタイトルです。杭州大会では、7タイトル中の日本タイトルはストリートファイターVのみでした。日本の5個のメダルのうち4個は、これらのタイトルから生まれています。

ただし、日本発のタイトルであることが、そのまま日本の優位を意味するわけではありませんでした。対戦格闘団体戦は3タイトルすべてが日本企業の作品でありながら韓国が金メダルを獲得し、eFootball™ではイランが、グランツーリスモ7ではマレーシアが頂点に立っています。一方、中国のネットイースが手がけるIdentity V 第五人格では、国内で公式プロリーグが運営されている日本が決勝まで勝ち進みました。タイトルの国籍以上に、国内に継続的な競技の場があるかどうかが結果を左右することをうかがわせる大会でもありました。

課題も浮かび上がっています。オリンピックでは日本オリンピック委員会(JOC)が金メダリストに一律500万円の報奨金を支給しますが、アジア大会には統一の制度がなく、各競技団体の判断に委ねられています。JESUが現時点で栗原選手に報奨金を授与しない見通しだと言われており、SNS上では支給を求める声も上がりました。栗原選手は2月のぷよぷよグランプリ ファイナルでも、大会規定により優勝賞金100万円の代わりに特別賞品を受け取っています。未成年選手への報奨や賞金の扱いをどう設計するかは、今後の議論が求められそうです。

国を代表するeスポーツの国際大会という点では、IOCのオリンピックeスポーツゲームズ構想が2025年に白紙となり、11月に予定されていた国別対抗戦「Esports Nations Cup」も2027年への延期が決まっています。そうしたなかで、各国の代表が公式にメダルを争うアジア大会の存在感は、相対的に大きくなったと言えそうです。

揺れる「アジア大会のeスポーツ」の今後

一方で、アジア大会におけるeスポーツの今後をめぐっては、大会期間中に議論が起きました。

OCAは9月19日、eスポーツとチェスなどのマインドスポーツを対象とする新たな総合大会「Asian Esports and Mind Sports Games」の第1回大会を、2027年にクウェートで開催する開催都市契約を締結したと発表しました。約4,000人の選手が参加する見込みで、実施競技は今後発表されます。第2回大会は2029年にフィリピンでの開催に向けて協議が進められています。

OCAの公式サイトで公開されている2024年11月の第90回理事会の決定文書には、「愛知・名古屋大会の後にアジア大会の実施競技からeスポーツを外し、別途アジアeスポーツ・マインドゲームズを開催する」という提案が全会一致で承認されたと記載されています。このため、愛知・名古屋大会がeスポーツを実施する最後のアジア大会になる可能性が高まり国内外でざわつきが起きています。

これに対しOCAは9月28日、フセイン・ムサラム事務局長が「アジア大会でのeスポーツの地位を低下させるものではない」と声明を発表し、今後もeスポーツをアジア大会の正式競技として実施する方針を明らかにしました。ただし、2030年ドーハ大会でどの種目・タイトルが実施されるかは明らかにされていません。

まとめ

11歳の栗原選手が見せた大連鎖、17歳の主将・東選手の逆転の一撃、そして韓国の壁に跳ね返された格闘団体戦。5個のメダルそれぞれに、自国開催ならではのドラマが詰まった10日間となりました。

栗原選手は代表候補に選ばれた際、「次はアジア競技大会で金メダルを取りたいです」と語っていました。その目標をかなえた11歳の存在は、アジア大会がすでに若い世代にとって目指すべき舞台になっていることを示しています。

次のアジアの舞台は、2027年にクウェートで始まる新大会か、それとも2030年のドーハ大会か。その道筋はまだはっきりしていません。それでも、今大会のメダリストたちが次にどんな姿を見せるのか、そして銀メダルの悔しさを胸に刻んだ選手たちの雪辱にも、期待が高まります。

(C) esports-spirit.com ©JESU

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