アジア競技大会2026、eFootball™で日本が銅メダル! 正式競技化後初のメダル獲得、グランツーリスモ7の國分諒汰選手は4位

9月23日(水・祝)、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)のeスポーツ競技で、eFootball™日本代表の貴田英貢也選手(Tess)と茶谷優我選手(lemon-pop)が銅メダルを獲得しました。

アジアオリンピック評議会(OCA)が主催する公式の国際総合競技大会で、eスポーツが正式なメダル競技となったのは前回の杭州大会からです。杭州で日本はメダルを獲得できなかったため、今回の銅メダルは正式競技化以降、日本にとって初めてのメダルとなります。

同じ9月23日にはグランツーリスモ7の決勝も行われ、日本代表の國分諒汰選手は決勝第1レースを制しながらも、総合4位で表彰台にあと一歩届きませんでした。

eFootball™ 結果

順位国・地域選手
金メダルイランHassan Pajani、Abolfazl Aghaeinasab
銀メダルマレーシアFarish Luzman、Muhammad Hariz Hazmi Hakimin
銅メダル日本貴田英貢也(Tess/KIWOOM DRX)、茶谷優我(lemon-pop/名古屋NTPOJA)
銅メダルウズベキスタン―

eFootball™は、家庭用(PC)とモバイルの1対1をそれぞれ1試合ずつ行い、代表2選手の合計得点で勝敗を決める国別チーム戦です。合計得点が並んだ場合は、第3試合の決定戦が行われます。3位決定戦は実施されず、準決勝で敗れた日本とウズベキスタンがともに銅メダルとなりました。

日本はPCを貴田選手、モバイルを茶谷選手が担当しました。

グループステージから準決勝までの戦い

9月22日のグループステージで、日本はグループBに入り、パレスチナ、タイと対戦しました。初戦のパレスチナ戦に勝利し、続くタイ戦を引き分けて、1勝1分けで決勝トーナメントへ駒を進めています。翌23日の準々決勝はヨルダンとの対戦でした。第1ゲームを取り、第2ゲームを落として迎えた第3ゲームを制し、2-1で準決勝進出を決めています。

準決勝の相手は、イランでした。第1試合のモバイルでは、茶谷選手がアボルファズル・アガエイナサブ選手と対戦しました。前半に中盤からの鋭いパスを起点に先制し、後半にはサイドからのクロスをヘディングで合わせて2-1で勝利しています。続く第2試合のPCでは、貴田選手がハッサン・パジャニ選手と対戦しました。0-2とリードを許す苦しい展開から、得意とするシュートキャンセルから1点を返すなど追い上げを見せましたが、最終的に2-3で敗れています。

2試合の合計は4-4。勝負はモバイルでの第3試合、決定戦に持ち込まれました。ここで茶谷選手が0-2で敗れ、日本の決勝進出はなりませんでした。もう一方の準決勝では、マレーシアがウズベキスタンに合計7-0で快勝しています。決勝はモバイルでマレーシアのFarish Luzman選手が2-1で先勝したものの、家庭用でパジャニ選手がMuhammad Hariz Hazmi Hakimin選手に3-0で勝利し、イランが合計4-2の逆転で金メダルを手にしました。

8年越しの再戦となったイラン戦

準決勝で日本の前に立ちはだかったパジャニ選手は、日本のeスポーツにとって因縁のある選手です。eスポーツがデモンストレーション競技として初めて実施された2018年のジャカルタ・パレンバン大会で、「ウイニングイレブン 2018」の決勝を戦ったのが日本とイランでした。このとき日本代表の杉村直紀選手と相原翼選手が2-1でイランを破り、金メダルを獲得しています。そのイラン代表の一人が、パジャニ選手でした。

ウイニングイレブンの系譜を継ぐeFootball™で、8年ぶりに日本とパジャニ選手が再びアジア競技大会で顔を合わせ、今度はイランが雪辱を果たした形です。パジャニ選手は現地メディアで「複数の世界王者」と紹介されるトッププレイヤーで、2026年もeFootball™ Championshipのクラブファイナルを制して世界大会への出場権を獲得していると報じられています。決定戦までもつれた準決勝は、そうした世界トップクラスを相手に、日本が最後まで互角に渡り合った一戦でもありました。

「開催国として金メダルを」 届かなかった頂点

貴田選手は青森県出身の24歳です。小学3年生から高校3年生までの10年間、実際にサッカーをプレイしており、ファンだった鹿島アントラーズの試合運びや勝負強さを参考にしていると語っています。高校2年生のときに全国都道府県対抗eスポーツ選手権の少年の部で優勝し、その後は日本eスポーツアワード2025でスポーツゲームプレーヤー賞を受賞、FIFAe World Cup 2025ではベスト8に進出するなど、国内のeFootball™シーンを代表する選手の一人となりました。

選手名の「Tess」は、高校時代にオーストラリアへ留学した際のホストマザーの名前に由来します。フェイントのコマンドとシュートキャンセルを素早く組み合わせる「Tess Cancel」は、別の技を練習している最中の操作ミスから偶然生まれたテクニックとして知られています。大会前には「開催国として、絶対にチームで協力して金メダルを取りたいです」と意気込みを語っていました。モバイル担当の茶谷選手は石川県出身の19歳です。3月にAichi Sky Expoで行われた最終選考競技会を勝ち抜いて代表の座をつかみました。選考時点では無所属でしたが、現在は開催地・愛知の名古屋NTPOJAに所属しています。

試合後、両選手は次のようにコメントしています。

金を狙って取り組んできた。悔しい(貴田選手)

金メダルを狙っていたので、あと一歩のところで負けてしまって、銅メダルという形で終わってしまったのはかなり悔しい(茶谷選手)

日本にとって正式競技化後初のメダルという快挙でありながら、2人の口から出たのは「悔しい」という言葉でした。金メダルを本気で狙える位置にいたことの裏返しと言えます。

グランツーリスモ7:國分諒汰選手は総合4位

順位選手(国・地域)
金メダルTaj Izrin Aiman Taj Madira(マレーシア)
銀メダルNaif Abdulhakim S Alfaleh(サウジアラビア)
銅メダルKim Young-chan(韓国)
4位國分諒汰(日本)

9月22日のタイムアタック予選で、國分選手は2分11秒784を記録しました。首位のKim Young-chan選手(韓国)とは0秒102差で、Naif Abdulhakim S Alfaleh選手(サウジアラビア)と同タイムの2位でした。23日の準決勝(Match 2)をトップで通過して臨んだ決勝は、8名が異なるサーキット・車両で3レースを走り、合計ポイントで順位を決める形式です。國分選手は第1レースを制して首位発進し、大混戦となった第2レースでもトップと0秒095差の3位に入りました。しかし最終第3レースは6位に終わり、総合4位でメダルを逃しています。

優勝はマレーシアのTaj Izrin Aiman Taj Madira選手で、第1・第2レースをいずれも2位でまとめ、最終レースを制して金メダルをつかみました。國分選手はレース後、「ミスもあり、思い通りの展開にならなかった。悔しい結果になってしまった」と振り返っています。

対戦格闘団体戦はグループステージ2連勝

メダル候補と目される対戦格闘団体戦も、9月23日にグループステージがスタートしました。Street Fighter 6のひぐち選手(樋口孝治郎/ZETA DIVISION)、鉄拳8のNOBI選手(中山大地/Team YAMASA)、THE KING OF FIGHTERS XVのSCORE選手(澤田彰仁/AMATERASU GAMING)の3名で構成される日本は、グループBで2試合を戦っています。

対戦結果内訳
日本 vs アラブ首長国連邦3-0鉄拳8 2-0、Street Fighter 6 2-1、KOF XV 2-0
日本 vs パレスチナ3-0Street Fighter 6 2-0、鉄拳8 2-0、KOF XV 2-0

2試合で落としたゲームは、UAE戦のStreet Fighter 6での1ゲームのみ。3タイトルそれぞれの選手が確実に役割を果たし、盤石の立ち上がりとなりました。

今後の日本代表の出場日程

実施日種目セッション
9月25日(金)対戦格闘団体戦決勝トーナメント〜準決勝
9月26日(土)ぷよぷよeスポーツ決勝トーナメント〜決勝
9月26日(土)対戦格闘団体戦決勝
9月27日(日)ポケモンユナイト決勝トーナメント〜決勝
9月29日(火)PUBG Mobile決勝
9月30日(水)Identity V 第五人格決勝トーナメント〜決勝

日本国内では、TBSスポーツのYouTube公式チャンネルでメダルセッションを中心にライブ配信が行われています。国内向け配信の対象外となるセッションは、OCAの「Asian Games TV」で英語によるグローバル配信が予定されています。

正式競技としての「最初の一歩」が持つ意味

アジア競技大会のeスポーツで日本がメダルを獲得するのは、デモンストレーション競技だった2018年ジャカルタ大会の金メダル以来、8年ぶりとなります。ただし当時はメダル数にカウントされない公開競技であり、正式競技として日本がメダルを手にしたのは今回が初めてです。

3種目13名の派遣でメダルなしに終わった杭州大会から、7種目9タイトル25名へと規模を広げて臨んだ自国開催の大会で、メダルの懸かった初日にまずメダルを確保したことの意味は小さくありません。今大会に向けては、国立の強化拠点であるHPSC ESPORTS LABが整備され、貴田選手も7月31日の発表会でデモンストレーションに参加していました。国のスポーツ強化の枠組みに乗せて臨んだ最初の成果が、この銅メダルということになります。

一方で、eFootball™の金メダルを獲得したイラン、グランツーリスモ7の金を含め開幕から複数のメダルを重ねるマレーシアの存在は、アジアのeスポーツ勢力図がもはや東アジア中心ではないことも示しました。日本発のタイトルが多数採用された大会であっても、それがそのまま日本の優位を意味するわけではない現実が、初日から浮き彫りになっています。

また、eスポーツ競技の国内中継はYouTubeでの配信が中心となっており、9月22日時点ではTBS系列の地上波放送スケジュールにeスポーツは掲載されていません。自国開催で正式競技として実施されながら、一般の視聴者に届く経路が限られている点は、国内でのeスポーツの位置づけを考えるうえで、今後の課題として残りそうです。

まとめ

開幕初日からメダル獲得と表彰台目前の4位という、明暗が分かれるスタートとなった日本代表。それでも、正式競技化後初のメダルという一つの壁を越えたことで、チーム全体に弾みがついたことは間違いありません。

次の山場は9月26日(土)です。グループステージを無傷で突破した対戦格闘団体戦の決勝、そして小学5年生のゆうき選手が挑むぷよぷよeスポーツの決勝が同じ日に控えています。翌27日(日)には、国内トップチームのFENNELを主体とするポケモンユナイト代表が登場します。

銅メダルの「悔しさ」を、残る種目の日本代表がどう受け継いでいくのか。愛知・常滑のAichi Sky Expoで続く戦いから、ますます目が離せません。

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