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Blizzard Entertainmentが主催する同社のデジタルカードゲーム『ハースストーン』の公式大会である「ハースストーングランドマスターズ」において、同大会に参加するプロ選手であるChung “Blitzchung” Ng Wai選手が除籍や賞金の取り消しなどの処分を受けました。

香港デモの支持表明による処分

処分の理由となったのは、Blitzchung選手による試合後のインタビュー。氏は、この映像付きのインタビューにてマスクを被り、香港のデモを支持するような内容の発言を行ったのです。Blizzardはこれをグランドマスターズの出場規約に違反するとして、同大会からの除籍、賞金の取り消し、そして『ハースストーン』の大会への1年間の出場禁止という処分を決定しました。また、このインタビューを実施したキャスターの二人に対しても、今後公式の番組やライブストリームへの出演停止という処分が下されました。

Blizzardのこの対応は非常に大きな反響を呼びました。そのほとんどが「処分が重すぎる」というものです。Blizzardが下した処分の内容は、Blitzchung選手が犯したルール違反に対する罰以上に、Blizzardが現在多くのリソースを投資し、また多くの利益も得ている中国市場ならびに中国政府に配慮したものではないのかと言われているのです。Blitzchung選手の行動に不快感を覚えた人の怒りを鎮めるために、必要以上に重い処分が下されたということです。

eスポーツシーンに関わる様々な人やコミュニティがこの一件に反応を示しています。この一件から派生した出来事について、いくつか紹介します。

 

Blizzard内部からの反発

最初に反応を示したのは、ほかならぬBlizzard社の従業員たちです。社員の中でもBlizzardのこの判断には納得しかねるという立場を取る人たちがおり、そういった社員たちが抗議活動を行いました。Blizzardの社訓には「Think Globally」と「Every Voice Matters」というものがあります。「国際的な視野を持つ」「あらゆる意見を尊重する」といったような意味合いの言葉ですが、これらの社訓が刻まれたBlizzard本社のオーク・スタチューにおいて、該当する社訓の部分が(抗議活動を行う従業員によって)覆い隠されていました。また、勤務時間中にこのオーク・スタチューの前に傘を持って集うというボイコット活動が行われたりもしたようです。

こういったBlizzardに対する抗議活動はSNSでも#BoycottBlizzardというハッシュタグを通じて広がっていきました。Blizzardが処分を撤回するまでBlizzard製ゲームを遊ばないと主張するプレイヤーや、World of Warcraftのサブスクリプションを解除する人など、さまざまな形でBlizzardに対する批判が行われました。

キャスターによる出演辞退

もう一つ、話題になったのは『ハースストーン』のキャスターとして知られるBrian Kibler氏の反応です。Kibler氏は自身のプロプレイヤーとしての活動を引退後、キャスターとして精力的に活動しており、ライブストリームでの露出も多いことから多くの『ハースストーン』プレイヤーや観客にとっては同タイトルの「顔」といっても過言ではないような存在。Kibler氏は今回の一件について、多くの抗議者達と同じく「Blitzchung選手がルール違反したのは明らかであり、なんらかの処分が下されること自体は妥当であるが、Blizzardが課したペナルティはあまりにも重すぎる」という立場を取っています。このような重い処分が下された背景にはやはりBlizzardの中国に対する「忖度」があったのだろうという意見です。Kibler氏は、Blizzard側から適切なアクションを起こさない限りは「グランドマスターズ」への出演はしないと主張しています。

香港デモのシンボルに仕立て上げられるキャラクター

Blizzardに対する反発は、同社のタイトルである『オーバーウォッチ』にも波及しました。『オーバーウォッチ』のキャラクターの一人であるメイを、香港デモを象徴するキャラクターとして祭り上げる動きが行われたのです。こういった活動は、SNS上で#MeiWithHongKong#MeiSupportsHongKongといったハッシュタグで行われていて、ファンアートも多く制作されています。もしこういった活動の結果中国政府が『オーバーウォッチ』に対して表現規制を設けたりゲーム自体を禁止したりした場合、Blizzardが損をする形となります。

Epic Gamesの反応

今回の件を受けてEpic Gamesが「『フォートナイト』プレイヤーが人権や政治について主張する権利を保護し、それを罰することはない」という声明を出したことも話題となりました。Epic Gamesはその株式の多くをテンセントが保有しており、中国資本の影響を強く受けている会社です。今回の一件では中国寄りの立場を取るのではないかと思われていましたが、同社のCEOも「人権・政治にまつわるプレイヤーの発言を罰することはない」と明確に述べています。

Blizzardの対応 

こういったBlizzardに対する抗議活動の激化を受けて、Blizzardは処分が下された経緯を詳細に説明する文章を公開しました。曰く、Blitzchung氏に対する処分の重さはあくまで彼のルール違反を罰するためのものであり、中国からの影響は存在しないとのこと。「グランドマスターズ」の配信はあくまで『ハースストーン』というゲームとその競技者のためのものであり、そこにはいかなる政治的意図を持ち込まれるべきではないという主張です。

ただし、処分がいくらなんでも重すぎるという指摘は妥当だとして、Blitzchung氏への処分の内容を変更しています。賞金取り消しは撤回、大会への参加禁止期間は1年から6ヵ月へと短縮され、またその期間が終わった場合はプロへの復帰も容認するとのことです。ただし、Blizzardの判断基準に中国からの影響はなかったという立場は崩していません。

「グランドマスターズ」と並行して行われている大学対抗の大会である「Hearthstone Collegiate Championships」という大会において、アメリカン大学(American University)の代表チームがカメラの前に香港デモを支持するホワイトボードを掲げるという事件も起きました。Blizzardはこちらのチームに対しても6ヵ月間の大会への出場停止という処分を下しています。これについて、同チームの選手は「あらゆる選手がルールにのっとって、等しい判断基準のもと罰せられていることに感謝します」と皮肉たっぷりに述べています。

 

eスポーツシーンとしては珍しく政治的・国際的な情勢が反映された今回の一件ですが、ゲーム市場にとって「中国市場」「中国資本」がいかに影響力を持っているかというのを示す一件となりました。リアルスポーツと違いeスポーツがRiot GamesBlizzardといった会社の「商品」と使って競っている以上、こういった問題は避けては通れないでしょう。Blizzardの今後の対応などにも注目が寄せられています。

©Blizzard Entertainment

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