
日本のeスポーツの現状が、オンカジタウンが実施した2段階の大規模調査から明らかになりました。日本のeスポーツシーンは本当に成長しているのでしょうか? ファンは実際にどこで何を見て、いくら使っているのでしょうかか? そのような調査内容について本記事では見ていきます。
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25%がeスポーツを視聴、一方でマネタイズに課題
今回の調査ではまず全国1,000人を対象としたスクリーニング調査を実施し、次にeスポーツ視聴者89名を対象としたフォローアップ調査を行うという二段構成。表面的な認知度だけでなく、実際のファン行動を深掘りする設計となっています。
結果は意外にも、日本人の約25%がすでにeスポーツを視聴していることが判明。さらに視聴者の約3分の2は月1回以上視聴しており、約4割が週1回以上視聴する「コアファン」でした。これは一過性のブームではなく、すでに習慣として定着しつつあることを示しています。

一方で、収益化の面では課題が浮き彫りになりました。直近1か月のゲーム・eスポーツ関連支出について、なんと64%が「0円」と回答。支出がある層でも1,000〜4,999円が13.5%、10,000円以上が9%と、高額課金者は限定的。支出の用途としては、ゲーム本体やシーズンパス(31.3%)、ハードウェア・周辺機器(25%)が中心で、チケットやグッズ購入は少数派でした。
YouTube一強時代:77.5%が「YouTube/YouTube Live」を利用
視聴プラットフォームについては、YouTube/YouTube Liveが圧倒的な77.5%を占めるという結果に。OPENREC.tv(7.9%)、ABEMAやテレビ(6.7%)、Twitch(4.5%)を大きく引き離しており、この傾向は男女間でもほとんど差がなく、日本のeスポーツ視聴環境における「YouTube一強」が鮮明になりました。

視聴コンテンツは、プロ大会(44.9%)が最多ですが、ハイライト・VODまとめ(38.2%)、個人配信者のスクリム・練習配信(37.1%)も高い人気を誇ります。解説・分析・チュートリアル動画も24.7%が視聴しており、ファンは競技シーンだけでなく多様なコンテンツ形式を楽しんでいることがわかりました。注目ジャンルとしては、スポーツ・格闘系が36%でトップ。ただし「特にない」と答えた層も32.6%おり、特定ジャンルに固執せず柔軟に楽しむスタイルが一般的な模様です。
現地イベント参加は2割、男女差は顕著に
オフラインイベントへの参加状況では、過去12カ月間に約20%が何らかのeスポーツイベントに現地参加していました。最も人気だったのは中規模イベント(ショッピングモールや大学など)で45.7%、次いでゲームカフェ・ショップのイベント(33.2%)、観戦のみ(30.2%)という結果に。
興味深いのは男女差が明確に現れた点です。大型アリーナイベントへの参加は男性8.0%に対し女性4.1%、観戦のみも男性8.5%、女性4.3%と、男性の方が積極的に足を運ぶ傾向が見られます。一方で、中規模イベントやスタッフ参加では男女差がほとんどありませんでした。
また、ランクマッチや大会への参加については、66.9%が「参加していない」と回答。オンラインランク戦参加は22.2%、地域・学校レベルの大会参加は15.8%、全国レベルは6.3%にとどまりました。
「eスポーツをスポーツと見なすか」という永遠のテーマについても調査が行われました。結果は、「わからない」が39.7%で最多。「スポーツではない」が31.1%、「部門によってはそう思う」が19.8%、「正式なスポーツとして認めるべき」はわずか9.4%でした。
男女差も顕著で、男性は「スポーツではない」が37.4%(女性26.7%)と否定的な傾向が強い一方、女性は「わからない」が44.4%(男性33.0%)と不確実な姿勢を示しています。
家庭内での受け止められ方については、66%が「特に意見はない」と中立的。「支持されている」は合計12%、「あまり支持されていない・反対」は21%でした。抵抗感は予想以上に低く、視聴の「常態化」は十分可能といえるでしょう。
eスポーツベッティング、認知度は低いが潜在需要あり
今回の調査で注目すべき項目の一つが、eスポーツベッティング(賭け)に関する質問です。現状、58.4%が「聞いたことがない」と回答し、過去12カ月以内に利用した人はわずか9%。認知・利用ともに極めて限定的です。
しかし、仮に日本でスポーツベッティングが解禁された場合、約29%が「利用する可能性がある」と回答。「絶対にしない」は28.1%、「わからない」が21.4%という結果になりました。慎重な姿勢が目立つものの、潜在的な需要は一定数存在することが明らかになっています。
また、アジア大会やオリンピックでの正式種目化については、「わからない」が37.1%で最多。「条件付きで賛成」19.1%、「デモ競技のままでよい」16.9%、「賛成」14.6%、「反対」12.4%と意見が分かれ、不確実な傾向が見られました。
またベッティングとは別で深刻な課題として浮かび上がったのが、国内チーム・リーグの認知度の低さです。「全く知らない」が42.7%、「見たらわかる程度」が39.3%で、具体的に1〜2チーム挙げられる人は10.1%、3チーム以上挙げられる人はわずか7.9%でした。

「世界でeスポーツをリードしている地域」という質問では、51.9%が「わからない」と回答。意見を持つ層の中では日本が20.9%で最多でしたが、これは現実の市場規模とは乖離しており、ナショナル・プライドを活かした物語作りの余地を示唆しています。
今後の展望
調査結果から見えてきたのは、日本のeスポーツが「視聴習慣」としては定着しつつある一方で、マネタイズとオフライン展開に課題を抱えているという実態です。
日本のeスポーツは、試合・配信・交流イベントのひとつひとつを通して、確実に次のステージへと進化しつつあります。シーンの今後の展開、特にマネタイズの方針については注目です。
(C)©オンカジタウン
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