eスポーツでよく知られるゲームでプレイヤー同士の嫌がらせが深刻化していることが、ゲーム専門の調査会社『Newzoo』とアメリカの名誉毀損防止同盟(ADL:Anti-Defamation League)の共同リサーチにより、明らかになりました。
オンラインでゲームをしている際にハラスメントを受けたと報告する人の割合は、女性が前年の41%から2021年は49%に上昇しました。約半数の女性が何らかのハラスメントを受けており、これは、アイデンティティ別の嫌がらせの中で最多になっています。
他のアイデンティティでは、アフリカ系アメリカ人ゲーマーが前年の31%に対して2021年は42%、アジア系プレイヤーが26%から38%と増加が目立っています。
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シューティングゲームで頻発か
調査したゲームの中で、Valorant(79%)とDota 2(78%)がハラスメントの報告の多さで2年連続でトップになりました。Minecraft(46%)のような、ほのぼのとしたゲーム環境では、嫌がらせも起きにくいようです。
タイトル別のハラスメントを受けたプレイヤー( 2021年)
Valorant:79%
DOTA 2 :78%
Overwatch:75%
Call of Duty:74%
Counter-Strike: Global Offensive:74%
PlayerUnknown's Battlegrounds:72%
Grand Theft Auto (GTA):71%
Fortnite:68%
World of Warcraft:66%
Apex Legends:66%
League of Legends:65%
Among Us:62%
Roblox:61%
Clash Royale:61%
Madden NFL:60%
Rocket League:59%
Minecraft:46%
非常に多くのプレイヤーが、お互いの関係に問題を抱えていることが、データから見て取れます。しかし、それよりも多い、およそ9割の人々が、ポジティブな体験があったと回答していることも、付け加えておきます。
そもそも、楽しいからゲームをプレイしているはずです。しかし、その中で嫌な思いをすることも、しばしばあるということなのです。
ゲームのソーシャルメディア化が一因? プレイヤーとゲーム会社に大損失
ハラスメントが増えるのと比例するように、嫌がらせを受けた際に自己防衛をするゲーマーが、全ての項目で前年より増えています。「プレイする人を選別する」「プレイ方法を変える」「特定のゲームを避ける」「特定のゲームプレイを止める」といった防衛手段があります。
この中で、2021年には「特定のゲームを避ける」が30%、「特定のゲームプレイを止める」が27%にも達しています。逆に「体験に影響なかった・その他」は18%にまで減少しています。
プレイヤーにとって嫌なのはもちろんですが、ゲーム会社としても、これは大きな機会損失です。SNS等ではイジメにより、未成年者が自殺に追い込まれるといったことも起こり、社会問題になっています。
テクノロジーや仕様の進歩により、昨今まるでソーシャルメディアのようにゲーム内でプレイヤー同士が交流するようになっています。
そして、eスポーツのタイトルでは、お互いに競い合うため、エキサイトして時には感情が爆発してしまうことも考えられます。
ユーザー体験が低下、企業側の対応に期待
大人のゲーマーの59%が、ゲーム会社がヘイト(憎悪)、ハラスメント(嫌がらせ)、過激主義への、しかるべき対策を講じるべきだと考えています。
競技のエクスペリエンスを高めるだけではなく、ユーザー同士が健全なコミュニケーションを行えるようなプレイ環境を整備することが、今後のゲームタイトルの成否に大きく影響してくる可能性があるでしょう。
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(C)©Anti-Defamation League ©Newzoo
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